マウイ…合宿奮闘記
ハワイ 02’6.22〜28
7月に開催される02’ジャパンサーキット第1戦 「十三湖グランプリ」に向けて Stiff店長・J-43杉原匡がマウイで合宿を行った。 千葉が誇るエクセルのニューボードのテストも兼ね、 J-85鈴木コングプロらとの合同合宿である。 店長にとってはじめてのハワイ。 本人からの自己申告レポートです。
マウイのビーチにある移動レンタルショップ。トラックの中にはったままのセイルがぶら下がっている。
6/22……
いつもと違う朝を迎えていた。
WSF(ウインドサーフィン)をはじめてからの夢……「マウイ行き」が、今日、実現するのだ。飛行機の出発は、成田発20:30。この日のお店のスクールをStiffライダーの大竹氏にお願いし、私は荷造りをはじめた。
出来上がったばかりのエクセルのボードをケースに詰め込む。今回はこいつのテストも兼ねた、「十三湖グランプリ(青森にて7月開催)」対策合宿なのだ。一緒にボードテストに行く、J-85鈴木コングの荷物をあわせ、板3枚、マスト4本、セイル6枚、ジョイントその他……。う〜ん、多い。この大荷物を、空港の中引きずりまわすかと思うと、マウイへの壁の高さを実感する(こんなところで?)。
もうひとつ気がかりが……。それは、オレ、飛行機が苦手。なんていっても国際線は初めて。
「ホノルルまでどのくらい?」
とコングに訊くと
「8時間くらいッスかねぇ〜」
と軽く答える。
ゲッ、あの飛行機の中に8時間も!
出発が近づくにしたがい、お腹が痛くなってくる。なんといっても「初めての海外旅行」、出発までトイレに10数回行き、飛行機の中でもトイレを捜した。
夢の「マウイ行き」……。最大の試練が飛行機に乗ることだった。20:30、無事離陸。飛行機の中で寝てるつもりで寝てないような……。
莫大な荷物を引きずり空港を歩く、歩く。
初めてのジャンボを眼前に、緊張気味の店長。トイレはどこだ〜!
6/23(日本時間)……
ホノルル着。
そのままハワイの風を感じることなく飛行機の乗り継ぎである。JALのカウンターから例の大荷物を引きずり、アロハ航空のカウンターまでフウフウ。J-85鈴木コングの怪しい英語(だって日本語が混じってるんだ)によって無事チェックイン。別室に連れて行かれたり、ボードケースの隅々まで覗かれたりってなかったですよ!オオタケさん!
「これからまた飛行機?」
と、知っていながらコングに訊くと
「そ〜っすよ!」
と軽く答えられる。
「どのくらい?」
「30分くらいっすかねぇ〜」
またお腹が痛くなってきた……。やっとハワイに着いたオレとガリちゃん。
どうでもイイけど、なんでこんなに
身長が違うの?おなじ地面に立って
いるんだよ。これでも。昼過ぎ、無事、マウイ着(やっと!)。
現地で合流した福岡のサエちゃん、ガリちゃん、ナンポちゃん、シラカシ君、ケンちゃん、コング、そしてオレの7人が勢揃い。マウイ合宿のスタートだ。
さっそくレンタカーをゲットして、マウイウインドサーフィンカンパニーに道具のレンタルに向かう。
そのお店は内藤さんという日本人が経営していて、英語レスでもOK(つまりオレでもOK)。レンタルギアも充実していて、02モデルのF2マウイプロジェクト、同じく02モデルのアロウズ・インパクトと最高のセットをゲット。到着してスグだったので、ウエイブの道具で体をほぐすことにした。
そこからカナハビーチへ車で10分。見えた……15年間夢に描き続けてきたビーチがそこにあった。
まさにウインドサーファーの楽園。
青い空、青い海、白い砂、芝生でもセッティング、そして有り余る風……ほんとうに夢の島(東京にもあったっけ?)である。
さっそく5.0のセイルをセッティングしていると 荷物をチェックしていたコングが
「兄ちゃん、セイルが溶けて、穴あいてるよ」
「えっ、」
あまりの重さに、その荷物を空港中、オレはひきずっていた。そこでケースに穴があいてしまったのだ。
お〜まいごっと!(あ〜まいった!)
でも乗るのには支障なく、とりあえずOK。セッティングを終了。木陰を抜け、白い砂浜を歩き、いざビーチスタート。風は12mくらい吹いていて、ババ吹き富津のような海面。気がつくとオレはニヤニヤしながらプレーニングしていた。いや、ニコニコ? 夕方、宿に着き、みんなでクッキング&シャワー&食事&バタンキュー! う〜ん、お休みなさい。
6/23(ハワイ時間)……
けだるい朝を迎えた。
昨夜、夜中にマウイの蚊とバトルした。ついでに時差ともバトッている。おかげで最悪のバッッァ〜ッドモーニング。
朝食を済ませ、マウイウインドサーフィンカンパニーに行き、風をチェックする。昨日と同じような風らしい。
今日からエクセルのスラロームボードのテストである。
みんなは4.5〜5.0のウエイブセイルで走っている中、コングは5.9、オレは5.8にウエイトジャケット5kgを背負って出艇。やがて海上には、同様に「マウイ合宿」に来たJナンバーのセイルが増えてくる。
彼ら日本のプロ選手たちの胸を借りて練習しようと、彼らにラインを合わせて走るが、さすがにみんなこの海面に慣れている。ジャイブもレイルをめいっぱいかませてカービング。日数があまりないオレとしては、早くこの海面に慣れなくては練習にならない。休憩しにビーチへ戻ると日本チャンピョンのJ-25浅野則夫プロがいた。
「今回、マウイ初めてなんだけど、いつもこんな感じ?」
「いや〜、今日は風、弱いほうですよ」
……げっつ、これで弱いの……
「これ以上吹いたら乗れないよ〜」とちょっと弱気になるが、もちろん浅野プロにはそんな表情は見せない(いや、バレてたかも)。
浅野選手によれば、「このくらいだったらフィンは30cmくらいがいいですよ」とのこと。気合いを入れ直し、再び強風の中へ。
夕方、海から上がるころ、なんとか海面にも慣れた気がする。あれ、コングがいない。……あっ、ビーチにいる。板をいじってる。近づいてみると、板が30cmほど割れている。う〜ん、それほどにハードコンディションなのか。
オレは板より体にガタがきている。どこが、ではなく体中が筋肉痛。
あとはスーパーよってクッキング&シャワー&昼間のビデオ見ながら食事&バタンキュー! 心地よい疲れとビールで一日が終わってゆく。マウイ、来て良かった!とボトム・オン・マイ・ハートから感じつつ夢の中へ。マウイではバルカンなんてあたりまえ。
ハイスクールくらいのガキンチョが
メイクしているのを見て、
ちょっとショック〜。
6/24……
朝からガンガン吹いている。
朝食後、マウイウインドサーフィンカンパニーで風をチェック。今日も「4.2〜5.0」というインフォメーションが書かれている。今日もカナハビーチ。
コングはスラ板をクラッシュしてしまったのでフリースタイルの練習。オレはやっぱりスラロームセット。日本ではなかなか小さな強風スラセットのセッティング、できないものな。
ということで5.9でエントリー。しかし、400〜500mほど沖合で「ボンッ!」という音とともに撃沈。見るとマストがぽっきり。岸は遥か彼方。道具を引きずり、浜までの長い旅路が始まった。
「サメが出たらどうしよ」と思いながらフルパワーで泳ぐ泳ぐ。約1時間半の旅路で足が地面に着いた。
疲れてビーチでボ〜ッと見ていると、コングがフリースタイルの練習をしているのが見える。なんと1日でバルカンがイイ形になっているではないか。何かヒントをつかんだのであろう。夕方までそのままダウンしていたオレは、コングにマストを借りて夕方のバトル海面へいざ参戦。泳ぎ疲れが抜けず、人には抜かれる。調子がでない。こういう時には早めの撤退。
毎日立ち寄ったマウイウインドサーフィンカンパニー
6/25……
今日もみんなに起こしてもらう。
いつも最後までビールを飲んでいるからだ。「バタンキュー」とはいうものの、結局、寝るのは夜中の2時〜3時。それも日々バージョンアップしていて、7〜8本のビール+ワインというパターンでやられている。朝が辛い。みんな、朝食、手伝えないでゴメンね。
おかげでオレの仕事はいつも皿洗い。でも無銭飲食じゃないぞ。
そしてキッチンで素晴らしいものを発見。
「食器洗い機」
これはスゴイ!う〜ん、楽チン楽チン、これなら朝食作りより簡単だ。オレも欲しい。マウイに来て、ウインドの板じゃなくて食器洗い機を買って帰ったら笑われるだろうな。
あと、生ゴミもシンクの脇の穴に入れるとなぜかどこかへ行ってしまう。不思議だ。マウイの台所、最高!
これが毎日のランチメニュー。10:30、宿を出発。
本日もマウイウインドサーフィンカンパニーで風インフォをチェック。今日もガンガン吹いているぞ〜。コングのバルカンがイイ感じになってきたのに触発され、オレもフリースタイルのセットをレンタル。ビーチでバルカンの陸トレを行い、いざ海へ。バックドロップ。……往年の名レスラー、ルーテーズの必殺技である。
オレのバルカンは、何回やってもバックドロップになってしまう。1日中、フォールされっぱなし。みんなには「バルサンだ!」と言われるし(そんだけイチコロ?)、地元の高校生みたいのはあっさりスポックをスポッと決めたりするし、女の子だってバルカンをバルカンって決めちゃうし、う〜、オレも早くバルカン成人になりたい。あ〜、ちきしょう!その夜、食事を見ながらビデオを見る。オレのバルカンはやっぱり一コロバルサンだった。おかげで軽いムチ打ち症。首が左へ回らない。
ここがウエイブの聖地、ホキーパ!
6/26……
朝9時、今日もいつものように目覚める(起こされる)。
時差ボケもなくなり、夜のビールもさらにパワーアップ!……二日酔いである。
みんな昼間の運動量が半端でないので、メシもビールもその消費量は半端ではない。食べないと体重もスグにオチ、パワーもでない。
ここマウイでスラロームするにはウエイトがないとやっていけない。特に身長164cmのオレにはウエイトジャケットは必須である。加えて体重も増やしたいので、いつでも食べ物を捜しては食い続けていた。
「今日はウインド・ショッピングをしてから海へ行こう」と、マウイのハイラックへ(窓越しショッピングではなくて、やっぱウインドの道具なんだな)。
店内には有名なワールドカッパーのプロトタイプの板がズラリと並び、日本ではなかなか見られない板もいっぱい。女性が海外でブランドモノを買いあさる気持ちがちょっと分かった。
これも日本未発表のF2フリースタイル店内をうろうろしているとJ-78クボタプロと出会う。マストが折れてスラロームができないと言うと、「ノースのマストでよかったら使ってよ!」とのこと。なんて素晴らしい人だぁ。ああ、これで今日からまたテストができる。感謝。
クボタと再会、テストも再開。
フィル・マクゲインと。ガリさんのほうが背が高い!さて、スラロームのテスト再開。
板の調子は最高。海面にも慣れ、ジャイブもイイ感じ。ただマストのマッチングがやはりイマイチで、セイルがとってもピーキー。ブロウが抜けるとスピードダウン、だからジャイブ中心に練習。
夜ははじめての外食! それも近くのショッピングモールのファーストフードだっ。
問題を発見。
ファーストフードは、ひとりずつオーダーするのだ。ウインド用語しか英単語を知らないオレはどうすればよいのだ。今日の夕食にありつくための最大の難所が近づいてくる。みんなはすんなり注文している。ああ、次だ、ああ、オレの番だ……ドキドキ
オレはまるでゴリラのように「う〜う〜」と言いながらメニューを指さして注文。お金はカウンターに前部出して、レジのねえちゃんに必要分を取ってもらう。多めに取られても分かりっこない。マウイでは英語が便利である。
肉の量は日本の約3倍!風の量も3倍!
6/27……
今日の早朝便で3人が帰国する。
でも習慣を大事にするオレは、いつも通り9時起床。6時半の見送りは見送った。たびたびゴメンである。
いつものように朝食をすませ、いつものように食器洗浄機に働かせ、いつものようにマウイウインドサーフィンカンパニーで風インフォをチェック。そしていつものように吹いている……
このお店はアロウズ、F2がメイン もしかしてアロウズの中古マストもあるかもしれない。聞いてみると、なんとH-24ピーターボルウォーターの430レーシングマストがある。やったー!スラロームだスラロームだ。それで海へ出てみると、うん、やっぱり純正マストは最高のパフォーマンス。ブロウホールでも常にパワーを感じることができ、満足のいく練習&テストができた。
考えてみれば、もう6日目。足の皮が薄くなり、ダクトテープを足に巻き付けないと乗っていられない。ボロボロ。 明日は最終日。
1日の外出はゴミ捨てから始まる。 足はボロボロ。
コング、ジャ〜イブ! 店長、ジャ〜イブ!
ちびっこが10m以上の風の中、スクールしてる!
6/28……
朝起きて部屋のカーテンを開ける。
そこには白波が見える。気力充実! ……でも体が言うことをきかない。しかし、本日がラストのテスト日。気合いを入れて出発。
カナハに着くと、今日もっ、10m以上の風、筋肉痛でなかなかセッティングができない。スラロームを諦め、コングのセットを借りてフリースタイルの練習。さあ、バックドロップ……じゃない、バルカンだ。
やっぱ、ムズカシ〜。頭が痛い! 午後4時、ノックダウン。
道具を片づけていると、日本から来ている小川さんが今日からスラロームで入るとのこと。最後の力を振り絞り、スタート。たった30分でノックアウト。小川さんも速い!
これで夢にまで見たマウイ合宿、終了。
その晩は、元プロだったサノさんのお宅でホームパーティ。千葉勢の面々とJ-411平林選手、小川さん、楽しいマウイ最後の夜が過ごせました。明日はオレの嫌いな飛行機。頑張って日本へ帰ります。まだまだ書ききれないことがたくさん。つづきはStiffで!
J-43杉原店長記